Waves and Emotions – Photography and contemporary Nō masks in dialogue

Waves and Emotions – Photography and contemporary Nō masks in dialogue

Duration: June 30th till July 29th, 2017
Opening: Thursday, June 29th 2017 from 6pm till 9pm. The artists will be present.

この度の展示は、彫刻家の浅野健一と写真家、池谷友秀による、二人展を開催する。

一見共通点がないアーティストのように見えるが、二人に共通しているのは、一貫してその作品に“生と死”を見つめる視点を求めることにある。


“生と死”のテーマは、彼ら二人のアーティストのみならず、人として生まれてきた私たち全てがこのテーマをいつもどこか頭の片隅に置いているのではないだろうか。

あるいはあまりの大きく漠然としたこの永遠のテーマに、私たちはあえて真摯に向き合うことを避けている、とも言える。

この二人のアーティストがどのようなアプローチを持って、人の“生と死”を捉えているのか、ぜひギャラリーにて彼らの作品から見出していただきたい。


浅野健一は1981年、愛知県に生まれる。幼少時から神社仏閣への興味を持ち、祈りの場としての空間、畏怖を感じるほどのダイナミックで荘厳な仏像に惹かれるうち
に、彫刻の世界へと入り込んだ。彼自身が格闘技などに趣味があることから、静の仏像から動の仏像、伝統彫刻からポップな彫刻へと変貌を遂げてきている。

また、仏像の修復にも関わった経験から、正確で並々ならぬ技術を持つとともに、漆、膠などを使った日本の古典的な技法までを身につけている。

彼の作品テーマは、日本の古典芸能などに見られる、役柄に入り込む“一体化”、“憑依” だが、その根底には“生きることの渇望”と“死への畏れ”がある。能面をつけることだけで、人はその人間性を置き去りにして面のキャラクターになりきることができる。

これは現代のコンピュータゲームにも通じるところがあり、自分のアバターを持つことで、そのゲームの世界に入り込むことに似ている。

今回の浅野健一の作品は、能面四点。

2015年に制作された旧作二点と、今回の展示のために作られた新作二点である。

旧作と新作の四点とも“生と死”のコンセプトで作られているのだが、その視点は旧作と新作では少し違った意味合いを持っている。

2015年に制作された“AVATAR25”、“AVATAR26”は、死にゆく人を見送る花を顔面に施されている。死を迎えた人はその花に見送られ、新しい世界への扉を開けていく。つまりこれらの能面は“死”を意味し、死後の世界へ羽ばたこうとしている姿なのではないだろうか。

生から死へ、死から生へと、能面一つで自由に生死を跨ぐ、大変壮大な作品である。

新作二点については、死を意味する能面が崩れ落ち、その下から生を意味する花が勢いを持って現れる。つまりこの新作の能面は、死を乗り越え、生への再生を意味するといえよう。

池谷友秀は、MICHEKO GALERIEで今回が3度目の展示となる。彼の作品には大きく分類して三つのシリーズがある。“BREATH“, „MOON“は過去の展示で見せてきたが、今回は彼の三つ目のシリーズである、“WAVE“を紹介する。

池谷友秀は、1974年神奈川県に生まれる。水中写真家としては日本で第一人者として知名度も高く、その幻想的で圧倒的な美しさの作品はインターナショナルに評価を得ている。

彼の三つのシリーズは、一貫して“生と死”を扱っている。BREATHは、人の呼吸に焦点を当て、限られた呼吸しかない水の中でもがく人々、あるいは最後の宴のように自由に羽ばたくかのように舞う人々を表現している。

MOONは、月の満ち欠けと潮の関係、あるいは女性の体の周期などは深い関係があると言われていることをコンセプトに盛り込んだ作品だ。人の生命は、人間が司っているのではなく、宇宙を巻き込んだ壮大なリズムとともにある。暗く浅い水に身を沈めた女性たちのシリーズは、神秘的かつ生の厳かさを表現したシリーズである。

さて、今回の展示ではWaveを紹介する。波に飲まれて死を意識しているように見えるが、そこに自然の脅威に抗うことをやめ、それと一体になって身をまかせる穏やかな表情と見ることもできるのではないだろうか。この海の波は、時に高く、時に激しく人にぶつかり、飲みこまんばかりである。しかしその海にさらわれるかのような緊迫した状況の中で、人々は恍惚のような表情を浮かべているではないか。生への執着はなく、自然の波と一体になり、まだ見ぬ世界へと身を任せている姿なのかもしれない。

池谷友秀の今回のWave作品は、MOONシリーズと同じく、写真作品ではあるが、写真上にマテリアルを加えることで、独特のテクスチャーを加えている。そのテクスチャーの効果で臨場感が高まり、見る者を画面内に引き込むような一体感と、立体的に感じる波がその作品をダイナミックに見せてくれる。写真作品というより、レリーフ作品のような面白さも感じさせられる。

2017-09-15T10:25:45+00:00